
「日本ではクリスマスを祝うの?」です。
日本でこの時期に起こっている現象について詳らかに説明するのは、うーん、難しい。だからだいたいこう答えます。「クリスマスは祝う。日本でキリスト教信者は比較的少なく、宗教的意味合いを持って祝う人は少数派。でも雰囲気はドイツと似たり寄ったり。」些か説得力に欠ける返答で、日本の状況を上手く表しているとは言えません。日本におけるクリスマス風習の変遷を辿るとなれば、一言で片付くとは思えませんが、何かいい言い回しは無いものかと・・そう考えていたところで、いい言葉を耳にしました。
「コカ・コーラ・サンタクロース」。
「日本にはコカ・コーラ・サンタがやって来てプレゼントを配る。そんな雰囲気のクリスマス。宗教的意味合いはない。」こう答えることで、日本のクリスマスは、信仰を問わず祝う行事であり、商業的な意味合いを十分に含んでおり、且つ、雰囲気がここと似たり寄ったりである事、欧米の影響を非常に受けた行事である事が伝わります。(実際に、コカ・コーラ社が、現行のサンタクロースのモチーフを定着させることとなったフィギュアを使い始める前に、日本でサンタクロースの風貌は知られていたそうですが、敢えて“コカ・コーラ・サンタ”を使用する事で、言葉だけは表しにくい“雰囲気”をも伝える事ができます)。
ドイツにはクリスマスに関わる2人の人物がいます。“ニコラウス”と“クリスマス男”です。もともとクリスマスは、キリスト教のお祭りではなく、冬至を過ぎたことへのお祝いだったそうです。で、ニコラウスがドイツで登場するのは16世紀で、ミラのニコラオスという紀元後300年頃に生きた聖人の伝説がもとになっています。彼の命日は12月6日。この日は、ドイツでは「聖ニコラウスの日」であり、子どもたちがちょっとしたプレゼントをもらえる日です。彼は大司教であり、祭服姿で十字のついた司教のかぶり物をしています。このニコラウスという“語面”が日本で言う“サンタクロース”であることは、見ての通り(読んでのとおり)です。しかし、クリスマスイブに赤鼻のトナカイと共にやってきてプレゼントを配る、日本の“サンタクロース”はこちらでは“クリスマス男”と呼ばれます。ドイツにおける“クリスマス男”像(サンタクロース)の外見もやはりコカ・コーラ社が定着させたという見方が強いようです。ドイツ(主に北)でも12月25日にはプレゼントを“クリスマス男”が運んできます。この習慣には日本と同じく“宗教的意味合い”は存在しないと考える方が自然かもしれません。
この“クリスマス男”(日本のサンタクロース)は、12月6日に命日を祝うニコラウスが起源だとされています。ドイツの “クリスマス男”が、日本では(あたかも、伝説上重大な人物であり、信仰に関わるような名)“ニコラウス=サンタクロース”と呼ばれている事実。これが面白いところです。
クリスマスの起源には非キリスト教的要素が十分に含まれているし、イエスキリストの誕生を祝う事とニコラウスの伝説やサンタクロースの逸話には・・そういえば関連性がみえてきません。クリスマスいったい何なの??
ドイツ人でもすべての自国の状況を説明する事はできないかもしれません。キリスト教でもないのに、クリスマスを祝うなんて〜〜(クリスマスは好きですが、キリスト教徒の人に面と向かって上記の質問をされるとなんとも居心地がわるく、悪い事をしているような気分になってしまうのです)・・ただデパートやレストランの広告に国民が煽られるだけの社会的現象なのでは?と思っていましたが、クリスマスってほんとうに、いろんな文化がごちゃまぜになった祭事で、“祝いたい人が祝いたいやり方で祝えば良い”のかもしれません。
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